沖縄といえば、青い海と白い砂浜の広がる西海岸のリゾート地が真っ先に思い浮かぶかもしれません。しかし、沖縄本島の東海岸には、観光地化されすぎていない素朴で温かみのある魅力が詰まっています。豊かな自然、古からの文化、神話が息づく離島、そして地元の人々の暮らしが今も残る地域――そんな「もうひとつの沖縄」を感じられるのが、東海岸の魅力です。
【海中道路と絶景の離島群】
沖縄本島中部のうるま市から海中道路を渡ってアクセスできるのが、平安座島、宮城島、浜比嘉島、伊計島といった離島群です。海中道路はその名の通り、まるで海の上を走っているかのような爽快なドライブ体験ができる人気スポットで、全長約4.7km。途中にある「海の駅あやはし館」では、沖縄の特産品や地元の海産物を使ったグルメ、そして地域の海文化に触れられる展示が楽しめます。
これらの離島はそれぞれに個性があり、観光地でありながらも生活の匂いが残る、静かで落ち着いた空間です。
【神話の島・浜比嘉島】
浜比嘉島は、琉球神話に登場する創世神「アマミキヨ」と「シネリキヨ」が住んだとされる島で、「アマミチューの墓」や「シルミチュー御嶽」といった聖地があります。集落には赤瓦の民家が並び、沖縄の原風景を思わせるような穏やかな時間が流れています。パワースポットとしても知られ、訪れる人々の心を静かに癒してくれます。
【自然と文化を体験できるスポット】
東海岸には、手つかずの自然や歴史に触れられるスポットも数多くあります。
例えば「勝連城跡」は、15世紀に阿麻和利によって築かれたグスク(城)の遺跡で、世界遺産にも登録されています。城跡の高台からは太平洋を一望でき、まるで空に浮かんでいるかのような絶景が広がります。歴史ファンにとっては外せないスポットです。
また、うるま市の「ビオスの丘」では、沖縄特有の亜熱帯植物に囲まれながら、水牛車やカヌー体験、自然観察などが楽しめます。小さなお子様連れのファミリーにも人気の施設で、沖縄の自然の豊かさを五感で味わうことができます。
【ぬちまーすと命の塩文化】
宮城島には、「ぬちまーす観光製塩ファクトリー」があり、ここでは世界的にも珍しい瞬間空中結晶製法によって作られるミネラル豊富な海塩「ぬちまーす」が生まれています。「ぬち」は命、「まーす」は塩を意味し、「命の塩」として健康志向の人々から注目されています。工場見学や塩作り体験ができるだけでなく、塩を使ったスイーツやコスメの販売もあり、観光とショッピングを兼ねた楽しみ方が可能です。
【海の恵みとローカルグルメ】
沖縄東海岸のもうひとつの魅力は、地元の海産物を活かしたグルメです。特にもずくはこの地域の特産で、「もずくそば」や「もずく天ぷら」など、観光客にも親しまれるメニューが揃っています。泡瀬漁港の「パヤオ直売店」では、新鮮なマグロや伊勢エビなど地元で獲れた魚介を使った食事が手ごろな価格で楽しめるほか、加工品の購入も可能です。
【ゆったりとした時間の流れ】
東海岸を訪れてまず感じるのが、流れる時間のスピードの違いです。西海岸のような賑やかなリゾート地とは対照的に、東海岸には自然と調和した暮らしが今も息づいています。赤瓦の家、サトウキビ畑、潮の香りがする風――そういった風景が、訪れる人の心を優しくほどいてくれます。
また、東海岸は混雑が少なく、ドライブにも最適。那覇市内から車で1時間ほどで到達できるため、日帰り旅行や半日観光にも向いています。
【まとめ】
沖縄本島の東海岸は、観光地としてはまだまだ発展途上のエリアですが、それこそがこの地域の最大の魅力でもあります。自然、歴史、文化、人の温かさ――沖縄らしさが、過剰に演出されることなく、あるがままの姿で存在しています。
観光に、癒しに、文化体験に、ぜひ一度、沖縄・東海岸を訪れてみてください。そこには、きっとあなたがまだ知らない沖縄の新しい表情が広がっているはずです。